マズルカ・マズルカ The "7th" Day page 54

「あ。来た来たなんか来た」
「…どれどれ？　あー、ホントですね。…でもなんかすっごい記述内容ですけど…大丈夫ですか？　こんなんポルカ様にぶちこんで？」
　惑星上から送られてきたデータをサルーに再構築してもらって実行可能な状態に復元してもらう。なんか歌いながら作業しているが、もう気にしない。
「大丈夫なんじゃない？　父さん絡んでるんだろうし」
　そうでもなかったらこんなん送ってこれないだろうし、と。

「ジルバさんが…ってことですか」
「うん。多分ね。父さんに頼んだか…それともあっちからコンタクトあったか、てなとこかな」
　さすがにそろそろポルカを復活させたい頃合ではある。現状、二人分の生命維持ならなんとかなるところではあるのだが…何か起きてからでは手おくれとなる可能性もある。時間が経てば経つほどその可能性は増していくわけで…それは避けたいところではある。
　だから二人ともサルーの復元作業が完了する前に万全な状態にしておきたいのである。データぶちこんだ瞬間にポルカ復活、といきたいところなのである。

『ふ・ふ～ん…マイボス、アーンド、ハ・ニー。そろそろ頃合、で・すね～』
「よっしゃ。さっさと始めようじゃないの。エイブラ、奥の手の強制起動装置は問題ない？　いける？」
「アイ・サー」
　強制起動装置とは文字通り無理やりにでも起動させる装置のことである。記憶媒体のデータサルベージ目的にも使われたりするのだが…もちろんのこと確実に起動、つまりはスイッチとなる動作に作用できるか分からない。本当の意味での奥の手であり…積極的に使いたい手ではない（場合と状況によっては取り返しのつかない事態となる恐れもある）。しかし、もうそこまで言っていられる状態でもない。
『では…いきまーすよー！』

　……
　………
　…………！

『う、むーー…むむ』
「お。起きた？　ポルカ？　聞こえる？』
『む？　むう…マ、マズルカ、なのか…？」
「あー、視覚リンクがうまくいってないみたいですね。…これでどうです？　ポルカ様？」
『お、おう…お、そうか、ここは、そうか…済まない、遠来なる縁者よ、手間をかけた』
「えんらいなる…何のことです？」
『いや、何でもない。…心配かけたな、マズルカ』

『…マズルカ？』
「ん？　ん…何でもない何でもない。ん、よかったよかった」
「あーれー？　お姐さま、なんか…泣いてません？　まさかあのお姐さまがー？」
『これはー・いけません・ねーマイボス！　ここは歌うのです！　さあ！　胸を・張っ・てー！』
「いやいやいや、そんなんじゃないって、そんなんじゃ…」
『ではどうしたのだ？　マズルカ？』

「いや、えっとねー…はは。嬉しかっただけってかなんて言うか…」

　そこで警報が鳴る。船体に危険を知らせる類ではなく、ホープフルからの連絡で事前にヤバいことが起きると設定されてある警報…要はアラームである。
『マジー？　聞いてる？　聞こえる？』
　画像はなくケリーの音声オンリー。
『未知の小惑星群警報がフランカーから来てる！　どうにもそっちに繋がんないからって私の方から…って、大丈夫？　なんか画像も繋がんないんだけど？』
『ああ、済まないケリー。今私が回線を開ける。…これでいいか？』
「ごめんね、ちょっとポルカの調子が悪かったから」
『そっか、今はいいのね？　うん…うん。なら良かった。…じゃあ…手伝って？』
「うん」

　そんなわけでマズルカたちは旅を続けている。平坦な道でもなく、険しいだけの道でもないけれど。それでも…彼女たちは旅を続けるのである…。

......the END? or continue?　　　　　　.