curious intermission3

　　　intermission 3　"いんてるめっつぉ・とれーす"

『現在掃討作戦は順調に継続中、順調に継続中…緊急情報！　敵残存兵力37%から41%に増加、繰り返す、敵残存兵力37%から41%に増加！』
「位置は？」
『現在地より前方35度7分から接近中。…航空兵力だよ、オーパス』
「ち。あちら側にも導入されたってやつか…」
『技術は日々進歩しているのさ。古い技術は新しい技術に取って代わられる、変わっていくのが常、ってね。…航空兵力総数800を確認。しかし増加率の増大が止まらない…現在49%、いや53%・56%…』
「800を余裕で超えるのか…ちょっとキツいかな…」
　黄色の回転灯が灯る。
「ガーフ？」

『皆、よく聞け。航空兵力による敵勢力の局地増大を確認している。しかし第十九隊および第二十隊による航空支援が確保できない』
「あちらも無理、か…」
『第十八隊はさっき全滅の宣言があったよ』
『味方の航空兵力による支援が期待できない。地上勢力は全体の損耗率が70%を上回り、先ほど80%を超えた。よって現時刻をもって第六隊の全滅を宣言する。繰り返す、現時刻をもって第六隊は全滅とする』
「敵も味方も空が頼み、か…」
『でも地上勢力もまだまだ有力だよ？』
「タンブル」
　操縦機器から手（羽）を離して…天を仰ぐ。もちろん搭乗機の、パイプやメーターのある低い天井しか見えない。空は…見えない。
「…変わっていく、って言ったのは…君だよ？」
『そうだったね、失敬』
　目の前で爆発が起きる。それはいくつもいくつも連続してやがて重なり合わさっていく。
「…もう終わり、か…」
『しばらくお別れだね』
「そうでもないさ。でも隊の全滅だと命が三つ減るからなあ…あと一つしか残らないなあ…」
『その方がいいんじゃないのかい？　彼女に早く会えるじゃないか』
「え？　いや、そういうことは、それは…」
　やがて激しい振動とともに目の前の操作盤から光が消える。そして同時に目の前が暗くなっていく…。

　………

『…オーパス？』
「ああ」
『ちょっと長かったね。隊の全滅からの復帰だとどうしてもね。システムはまだ完全じゃない。少し、待っててくれるかい？』
「…ああ」
　見慣れた操作盤が目の前にある。何度も何度も文字通り死線をかいくぐり、そして一緒に破壊されてきた機械。それらは搭乗者が復活すれば同時に破壊された時の状態のまま、復活される。
　…何度も何度も。
　搭乗者の寿命が尽きるまでそれは繰り返される。延々と。もちろん、この場合の『寿命』は彼らの言う『命』のことではない。
「耐用年数…」
『何か言ったかい？』
「いや、なんでもない」

　黄色の回転灯が灯る。
『オーパス？　復活したか。今現在展開中の作戦はない。が、すぐに開始される。別命あるまで待機。いいな？』
「うん。あ、そうだ、ガーフ？」
『なんだ？』
「ちょっと相談したいことがあるんだけど」
『どうした？』
「今なら…大丈夫かい？　そういう話しても？」
『別に構わないが…』
　ちょっとした戸惑いが声に混じっている。
『…何かあったのか？』

「僕でも…こんな僕でもさ」
『うむ？』
「福田さんやガーフみたいな…旅人になれるのかな？　自分で世界を渡ったりできるようになるのかな？」