curious intermission4

　　　intermission 4　"いんてるめっつぉ・くぁっとろ"

『ねえ、メイジ』
「…何かな？」
『キョウコさんってさ、娘さんいるって話だったよね』
「うむ。息子も二人おるぞ」
『え？　そうなんだ。でもさ、大丈夫…なのかな、その子』

「大丈夫とは？」
『だって何年も離れ離れってことでしょ？　さびしくないのかな、って』
「うむ…それはの、まあ…仕方ないことではあるのが、な」
『なんかあるんだ』
「持って行かれておるのだよ、思い出も何もかも」

『持って行かれてる…って、一体どういう状態なの？』
「どういうも何も、そのままじゃよ。今日子さんに関する思い出などを全部なくしてしまっておる。記憶としては少しは残っておるようじゃが…自分の母親のことをほとんど他人のようにしか思っていないはずじゃろうて」
『だからさびしくはない…ってこと？』
「そういうことになるだろうて。なるのだろうが…」

『あんまりいい話じゃないね』
「うむ。実際、そういう噂をいくつか聞いたことはあるのだが…」
『…このみさんたちから？』
「…あまりその名前を出すでない。あー…寒気がする…」
『ごめんごめん』
「…まあ、なんだ。そういう状態になった者はほとんどがそのまま命を終えることになってしまう、と。持って行かれた思い出を取り戻すこともなく、な」

『やっぱりあんまりいい話じゃないね』
「めったにあることではない、ということだがの」
『あーーー…』
「どうした？」
『いつか会えるかな？　その子に』

「まあ、待っておれ。そのうち良き機会も来るだろうて。…いや、実際のところは…」
『実際のところは？』
「すでに会っているかも知れんぞ？」
『またまた』
「いやいや。縁は奇なもの、とか言うでな。どこでどう繋がっておるか、分からんわい」
『じーさんみたい』
「ジジイじゃ」

　……

『あ。そろそろヤバいかも』
「そうじゃな」
『じゃあ、またね。メイジ』
「うむ。…また来る」

『うん。また…ね』