…最初の眷属。
何のことだか、よく分からない。
『よく分からないかい？』
一つ、うなずいて見せる。
『考えてみたことはないかい？ キュリオスの眷属って一体なんなんだ、って？』
「お手伝いさんじゃないの？」
『ミもフタもないねえ』
苦笑いするキジネコ。
『ただのお手伝いならあんなに数はいらないさ』
「何だっけ…五十音だっけ、アルファベットだったっけ…」
『五十音属に二十六字属かい？』
「うん。じゃあ…76に2足して…78の眷属がいるってこと？」
ぶんぶんと首を横に振る。そして、なぜか嬉しそうな顔。
『まだまだ。もっとたくさんいるのさ。私も全部に会ったことなんかないけどね。…全部に会った、なんてな旅人なんかいないだろうけど』
『それにね。色々な奴がいる。そんな必要もないだろ？ 事務的に手伝うだけならあんな個性だらけの連中なんかいらないさ。効率悪そうじゃないかい？』
「まあ…たしかに」
これまで会った連中のことを思い起こしてみる。…ミョー、と言うか一筋縄ではいかない、と言うか…。
「色々いてまとまりなかったけどね…」
『主な役割はたしかにお手伝いだね。でもそれだけじゃあ、ない』
「他に何かあるの？」
そこで、ふと、思いつく。
「あ。そっか…旅人のサポート的なやつ？」
『それはお手伝いに入るかも、だけどね。それだけじゃないのさ、ふふふ』
…あー…今度はイジワルそうな顔になった…。
このネコがこういう顔になるとろくなことにならないことを未来はよく知っている。
『分からないかい？』
「うーーん…」
…楽しそうだなあ…。
『ハイ、時間切れ。ふふふ…まだまだだねえ』
…うわあ。
『答えは…世界の活性化、だね。世界てのはそのままだらりとしてるとどんどん淀んで行っちまうもんでね。それを防ぐためにかき混ぜる…そういう策を考えたりする。そういうのも眷属の重要な役割の一つ、ってわけさ』
『例えば役に立ちそうな旅人を他から呼び込んだり、とかかね』
「ガーフも呼ばれたりしたことあるの？」
『あるさ』
どことなーく得意そうな様子で、顔を前脚でこしこしこする。
『あんたもそういう話になったらなるべく乗ってやんな。それはそれでやっぱり重要なことだからね、旅人にとっても』
あの真っ白な世界にいた…犬のシーカーを思い出す。そう言えば…そんな感じのことを言ってたっけ…。
…でも。
「そもそもなんだけど」
軽く足を伸ばしてみたりする。
「キュリオスって…なんなんだろうな、とか」
『そこからかい？』
「うん。…そこから。そもそも」
『キュリオスはキュリオスさ。それ以外何でもないモノさ』
