だが未来はそんなこと頭に入ってきてなかった。
…三日…？
三日って、いつから？ 今日の夜の十二時からってこと？ 今から三日ってこと？ 72時間きっかりってこと？ とか色々考えてしまう…
『…大丈夫です、ミライさん』
肩の上から細い銀糸のような声する。
『…自分が、ついてます。何とかしましょう…』
「何とかって…」
『…これは世界の危機、というやつなのです。これを回避できるのは、ミライさん、あなたです、ということなのです…』
と、言われても…。
一瞬だけ、一瞬だけ間を置いて…世界は動き出す。動き出したのだが。
…どうしよう。
しかし未来の心の中はそんな思いでいっぱいになってしまっている…。
『…なに、そこまで心配することでもない、ということです』
「え…？」
『この根は決して邪悪な魔王とかではなくもちろんラスボスでもありません…』
…まだ引っ張る気かな…。
『…これはこの世界の根源の一つ、魔法力の源が露出した姿の一つです。この店が必要としているせいなのかそれとも他に何かクリエイターの思惑があったのかは分かりませんが、これはあくまでもクリエイターが設定した魔法力の概念の姿、ということです。恐れる必要はありません…』
根っこの塊？は変わらずどくんどくん脈打っている。
『どうなんだい？ 何か分かったのかい？』
『えっと、その…ちょっと時間をください』
『…それが懸命です。いきなりどうにかはできないでしょう…』
「ねーねー、ミライ？ コレなんだろね？ こんな妙な道具鍛冶場でも見たことないや。何か挟むのかな？ へへっ、面白れー」
『どうにかなるんかいな、ホンマきっしょいんやわ、コレ』
『まあ、多分は…』
「で？ リョンカには何頼まれたの？ 何か持って来てくれって？ それとも何か別の用？」
「え？ それは、その…ね？」
『急ぎはしないよ。もちろん。でもね…』
「どうすんの？ ミライ？」
『…でも何かしないと期限が決まっていますし…』
あーーーもーーーー
とりあえずみんなちょっと待って、今考えているから…と一度目を閉じて、そして開いてみたのだが。…あれ？
いつの間にか未来は自分の部屋の、自分のベッドの上。反射的に枕元の目覚まし時計を見てみる。…あれからほとんど時間が経っていない。10分とかそれくらい。いつもなら…いつもなら「あっち」で寝た時に「こっち」に自動的？に戻っていたのに…それも一晩は時間が経っていたはずなのに…？
『…その辺も、少し、おかしくなっている、ということなのです…』
「うわあ」
いきなり変な声が出る。目覚まし時計のそばに小さな三毛猫がうずくまっていて、小さな瞳でこっちを見ている。
…びっくりした…。
『…設定していたこととは違う事象が起き始めているのです。これは崩壊への序曲、と言えるかも知れません…し…』
「し…？」
『…そうでもないかも知れません』
「…え？」
どうゆうこと？
『…元来がクリエイターが放棄してしまった不完全で不安定な世界なのです。そういったことが起きても…いやしかし…』
『…重要な要素がおかしくなっている、ということならやはり本格的にマズい、ということになる可能性が高いです。急ぎましょう、あまりゆっくりはしていられない…』
