…遊園地って…なんかあそこみたい。このみさんとくすしさんの、あそこ
そう言えば…あの二人？はゲンゾーさんの今の状態を知っているんだろうか？
「あの、父さん」
「なんだい？ 未来？」
娘が淹れてくれた二杯目のコーヒーに手を伸ばす羽佐人。
「このみさんと、くすしさんって…知ってる？ ゲンゾーさんはもちろん、母さんも多分知ってる姉妹の方なんだけど…」
しまいのかた、というのが正しい言い方なのかはちょっと分からない。
「御姉妹なのかい？」
「うん。ちょっと先に行ったところのやっぱり小さな遊園地で働いてる…」
…とん。
『…は、初めまして。ミライさんのお父様。自分はイントと申します…』
これまで後ろに隠れていたイントが、未来の肩に急いだ風に跳び乗ってくる。
『…ミライさんを手助けするよう、上のものから申しつかっております。何とぞよろしくお願いいたします…』
すると、立ち上がって一礼する羽佐人。
「これはご丁寧に。未来の父の羽佐人です。こちらこそよろしくお願いいたします」
…なんか、急だな…
イントらしくない、と言うかなんでこんなに慌てているのかな、とか思っていると…。
…ミライさん、ミライさん
…イント？
…やめましょう、やめときましょう。今、あの二人に介入されるとヤッカイなことになる可能性、大です
…え、そういう…もの？
…あの二人は本当にヤッカイなんです。その手の話をするとどこからともなく現れて引っ掻き回すだけ引っ掻き回していく、というのが以前の経験則から十分にあり得ます。関わるのはやめといた方が、得策です
…うん。なんか…ありそう
二人の話していたらそこらの壁からくすしさんが平然と『よっ！ やってる？』と、出てきそうではある…。
『…ンン。実はお父様にお願いがあります…』
「なんでしょう？」
『…実はミライさんはミライさんのお母様…フクダキョウコさんのことを探っています。あの方に繋がる縁（えにし）をご存知ないですか…？』
それを聞くと、何度も何度も大きくうなずく。
「なるほど。そうか、あなたがケンゾクというわけですか、なるほど、そういうことですか。…なるほど」
「前に今日子さんが話してくれたことがあります。きゅり…キュリオスの眷属、でしたか、世界を創るためにどうしても必要なのだ、と」
『…別にどうしても、というわけではありません。我々なしでも立派に世界を創っている方々は、たくさんおります…』
「そうなんですか…今日子さんは先達の方と一緒に眷属の方とお会いできた、と喜んでいましたが…そういうものなのですね」
『…はい』
「それで…父さん…？」
「そうだね。うーん…具体的に何をどんなものを探せばいいんだろうね？」
「それは、えっと…」
肩の上のイントを見る。…なぜか顔を右手？でコシコシとこすったりしている…。
『…え？』
「え？ じゃなくて」
『…ですから、縁（えにし）を…』
「そうじゃなくて一体何をどんなものを探せばいいの？」
『…そんなこと、自分は知らないです。分かるのは近しいものなのですから、それはご自分たちで探して頂かないと』
えーーーー…。
まあ、仕方ない、とりあえず僕の部屋で探してみよう、何かあるかも知れないし…という羽佐人の言葉に従うことになったのだった。
