TheRootSeller 外伝 4 「そんな彼らに花束を」　[3-6]

　うん。僕はさっさか先に進もうって言ったんだけどね…モナークがさ。

『ここで一旦休みにしよう。水場からは少し離れているが、まあ、問題ないだろう』
　たしかに毛布敷いたりしてもいいくらいの広さはあるんだけど。でもなー、僕はもうちっと進みたいなあ…。そしたら毛布引っ張り出しながらさ。
『休めるうちに休んでおけ。また眠っちまったお前を担ぐなんてのは俺はもうごめんだからな』
　へいへい。ま、ぐっすり眠るってわけでもなさそうだし。ちょっち体を休めますか…。

　ごそごそ。

　…何だろ、何だろ。

　がさがさ。

　…もなーく？　何やってんのさ…。

　ああ、もう何の音だろ…？

「えっと…」
　何々、これ…？　僕のじゃなくてモナークの荷物をね、あのね…。
「こびと！」
「そんなわけあるか！」
　おおう。モナーク起きてたんだ。
「こいつらはドウクツキツネザルだ…ああ、ちくしょう、俺としたことがこいつらの縄張りで眠っちまうとは…やっぱ疲れてんのか…？」
「え？　何？　モナークってば自分が休みたいから休むっつったの？　あっらー？」
　にしし。なんだ、そういうことなら先に言ってくれればよかったのにぃ？
「あらー、じゃねえよ。…ああ、食料漁ってやがる。…おら、どけ、そこからどけ！」
　そうだった…そこら辺は後でツッコミ入れとこう。今はなんだか分からないアレを…これってカウントってことになるのかな。
　大きさはネズミくらいの…何だろ、鼻がとがってて耳の大きなやっぱりネズミみたいな。でも足で立ってるんだよ。目も真っ黒でくりくりとして大きいしね。そんなのが…５ひきくらい？　なんかかわいいような気もするんだけど…。

　ききき。

　笑ったなー、今笑ったなー？　変な顔して？　えーもう、こいつらぶっ飛ばして…って、小さい小さい小さすぎるう！
「やめろ、お前じゃこいつらには攻撃できねえ。…そうだ、あのヘビモドキなら…」
　そうだ、ポコポコ！　いつもは、えっと、僕の頭の上で…いやいや、今まで僕は寝てたんだ、そう、だからあの筒の中に入っててもらって…あれ？　筒がない…あ、あった。なんでこんなとこにまで転がってんだろ。
　…うりょ？　ポコポコがいない？　なんで？　どこ行って…あ、ああああああああ…。
「どうした？」
「モナーク、あれ…」
　ポコポコ…。
「うえ。まさかあれって…」
「ポコポコ？　待ってよ、連れてかないでよ、僕のポコポコ！」
　あのこびとたちがね、ポコポコの白い体、担いでどっかに行っちゃったんだ…！

　ああ…ポコポコ？
「追うぞ」
　モナークが散らばった荷物を乱暴に押し込んで立ち上がる。
「ドウクツキツネザルには必ず巣がある。そこに連れ込まれたんだ。そこを見つけりゃあいつの居場所も分かる」
「うん」
　僕でもあいつらが向かった先の見当くらいはつくからね。…よし、あっちか…。

「…？　おい、お前…自分の荷物の中、確認したか？」
　どしたのモナーク、そんな変な声して。
「僕は今、燃えてるんだからね。触るとケガするよ？」
「いや、そうじゃなくてな…」
　ひょい、と僕の背中から荷物を取って…
「なんでこいつ、こんなとこにいるんだ？」
　荷物の中には丸くなってすやすやと眠ってるポコポコが…って、あれ？