TheRootSeller 外伝 4 「そんな彼らに花束を」　[3-30]

　その後はね『ひふきりゅう』『はこ』『のば』『に』『おい』『てつぎ』『のだ』『ん』『かいへす』『すみ』『た』『り』…いや、すごいね。めーたんてーのしゅうりにかかっちゃ泥棒もかたなしだね。これだけたくさんのひがいしゃリストが出てきちゃった。
「うん。これはまずモナークに会って、それから地上へ…いや5の町でいいかな。あのお姉さんたちに知らせて…」

　…ポコポコ？　どこ行くのさ？

　じょしゅが勝手にどっか行っちゃったらダメじゃないか。ん？　なんかそっちにあるの？
　そう言えば僕、このへやのなか全然歩いてないや。このメモは大事なしょうこってやつだからね。なくさないように、ここへしまっておいて…。

　ポコポコ？　どこ？

　…へーー…。
　思ったより広いんだ、ここ。
　めいきゅーの中ってこういうへやがあんまりないじゃん？　ああ、町とか店とかね。ああいうとこにはあるけどさ。他にこういうへやっていうかひろまって言うかさ、そういうのってないよね…んにゃ少なくとも僕は見てないね。
　しっかし。
　ふつーのめいきゅーの壁とさ、なんかやっぱ違うんだよね、ここ。
　それにね…これはどうなんだか分かんないだけどさ。気のせいかもしれないんだけどさ。コチューゴケもさ…なんか、違うんだ。

　いつものように光ってるんだよ？　それはまちがいないよ。でもねえ…光りかたが違うっちゅーかね、こう、なんか、いつもはもっともっさり光るのにここのはね、えっとね、うーん…するどい？　びしびし来るってやつ？　なんだかそんな風に感じるんだ。
　いや、だからなんだ、とか言われるとそれまでなんだけどさ。
　別に困るってわけじゃないしね。どーでもいいっちゃあ、どーでもいいんだけどさ。

　うーん…結構奥までつづいてるね。

　ここへ入ってからどれくらい歩いたんだろ。って、まあ、そんなでもないですか。
　入り口近くにあの人がいて、そしてメモがあったんだ。で、ポコポコがずんずん奥へ行っちゃって…それからここまで歩いてる。そう、何もないんだ、このへや。ただただだだっ広いって言うか…。
　あ。ポコポコいた。もーどこまで行ってんのさ、どっか行くときはなんか言っておいてよね。でないと心配するから…？

　あれ？　ここって、あのお立ち台…？
　まちがいないよ、へやのね、真ん中くらいかな。そう、まだちょっと奥があるみたいだけど、その真ん中くらい。うん、そこにね…あの時あったアレ。ポコポコと初めて会った時にあったアレ。僕のおなかよりちょい高めくらいの高さの…お立ち台。アレがここにあるんだ…。
「まさかあそこへ戻っちゃったわけじゃないよね…？」
　やっぱり草みたいなのがいっぱい。やっぱりふわほっちゴケ…だと思う。どの辺が違うのか、なんかよく分かんないんだよね、じつは。ただ、コチューゴケと比べるとなんかやっぱどっかなんか違うからさ、たぶん違うもんなんだろう、とかそれくらいは分かるんだ。
　んー…別にあそこへ戻っちゃったわけじゃないみたいだね。なんかやっぱりどっか違うような気がする。
　それに…そう、そうだよ。あそこはさ、ただの小さな部屋だったけどここはもっと広いし。やっぱりあそことは違うんだよ、うん。

「ポポポ…」
　ポコポコ、なんか不安そう…？

　ひょい、と持ち上げてお立ち台のとこへ乗っけてみる。ここへ来たかったんだよ…ね？
　ね…？　そうじゃないのかな…ポコポコ、ぐるぐると僕の手に巻きついてきちった。めったにないんだ、こんなこと。いつもなら大人しく乗っかるんだけど…あれ、嫌がってるのかなあ、ここに乗るの。すんごいうねうね動き回ってるよ。でもじゃあ、なんでこんなとこまで来たんだろ。
　だってさ、僕…ポコポコに連れられてここまで来たようなもんなのに…。

『驚いた。これは…驚いた』
「誰！」
　いきなり、だ…いきなり？　なんでさ？　誰もいなかったはずなのに…！
『ほう。反応が速いな』
　ポコポコを頭の上に放る。両手をお立ち台について、重さをそっちへ全部かけて、体を浮かせて足を上げる。思わずこんなことしちゃったんだ。でもさっきまで僕の足があったところを銀色の光が走ったんだ。
『もう少し遅かったらその足を頂けたのにな。しかしこれは…面白い』

　ポコポコは…無事。僕の頭の上にいる。…振り返ったらダメだ。その時間がムダだ。でも、どんな奴なのか、見てみないと…。
　ちらっとだけ、顔半分だけ後ろへ。

　…なんだ、あれ…なんであんなに真っ黒なの…？