TheRootSeller 外伝 6 「魔法使いを探せ！」[1-53]

「商売っ気のある古物商ねえ…」
「お前が言うとなんかアレだな」
「アレって何よ」
「商売っ気のないルートセラーなんかいそうもないって、な？」

「…いないってこともないけど」
　ルートセラーにだって色々いるのである。中には守銭奴とは程遠い連中もいるにはいる。何せなろうと思えばいつでもどこでも誰でもなること自体は可能なのだから…薬協行って署名はしたけど特に活動していない「幽霊ルートセラー」ならちょっと探せばわんさか出てくる。
「それよりさ」
　にまあ、っと妙に勝ち誇った笑みを浮かべてわざわざ一度立ち上がってジェドを見下してみたりする。繰り返すがドリスの方がジェドより背は高い。
「これで金貨の出どころが正当なもんだって…わかったっしょ？」
　そして、すとん、とソファに腰から身体を落とす。

「？　何の話です？」
「ああ、このカタブツがね、あの金貨50000枚は怪しいカネじゃないか、って」
「カタブツ言うな」
　はー、とため息吐いて頭を軽く振って見せる。
「この業界、そんな真っ当な奴の方が少ないんだ。特に競合相手なら疑ってかかって当たり前だろ？」

「こちらの方も先ほどのパウカイ獣紙を？」
「どっちかって言うとクルガ紋様だな。あれならそこそこの買い手がつく。無論、獣紙の方でも、な」

「で…あの資金が正当なもの、となりますと…何がどうなるのです？」
「このお節介焼きが何とかできないか、って言い出してな」
「お節介焼きとか言うな」
「あんたらからも依頼してたんだろ？　で、俺とあいつはこいつにちょっと間雇われているようなもんだ。だから何とかしよう、という話に乗ることになったんだ」
「何とか…ですか」

「…いいんですの？」
　身を乗り出してくる。小さなテーブル越しに…ドリスの顔を前のめりに覗き込んでくるような姿勢。
「まあ、ここまで来ちゃったら、ねえ？」
「こちらからの依頼はあのパウカイ獣紙の本当の価値の確認だけですわ」
「それだけならたしかに、俺かミランのツテを使えばあっという間に完了だな。…あれを鑑定して証書付けられる奴ならこの会場にだって探せばいるだろうさ」
　ドリスの背後で腕を組んで何度も何度もうなずいていたりする。
「でもそれだけじゃうちの雇い主は納得できないんだと」

「まあ雇い主ですから」
「ちょっとの間だけだ」

　それでもアデラは…
「…そんなに払えませんわよ？」
「いいのいいの。そこまでは…ってことだから。割増しの要求ってわけじゃないの」
「でも…」
「まあ、何て言うか、ね」

「なんか気になっちゃったからさ、あの子」
「顔が赤いな、おい」
「うっさい」
「それは大変にありがたいお申し出なので、うちのテオも喜ぶか、とは思うのですが…」

「具体的にどうしましょうか？」
「そこが問題だよな」
「何言ってんの、話はカンタンじゃない」

「要は…あの子がお見合い合戦に勝てればいい、それだけってことでしょ？」