TheRootSeller 外伝 6 「魔法使いを探せ！」[2-45]

　…ラサルート、か。

　古都だ、ということはもちろん知っている。ラサルートオークションなる大規模でレアな出品の多いオークションが稀に開かれることも、ジェドやミランの話から知っている。しかし…
　…どこまで関係してくるがやろね。
　「古都」」なんて呼ばれている都市は探せばどこの地方にだっていくらでもあるだろう。そこへこの難解な文字を安易に結び付けてしまうのは…なんか違う気がしないでもない。関連ゼロではないのかも知れないが、それにしても…？

「どっちかって言うと、こっちかな、うん」
「どっちです？」
「ヴェーラ村」
　フォルテウ氏との関係の方が、どっちかと言うと気になる。
「ふむ。依頼もあるのだしな」
「そう。それもあるのよ」

　…よし
　…行ってみるしかないか、ヴェーラ村。

　依頼の方はそもそも済んだようなものなのだ。知り得た「トゥペの木の皮を食用以外で使う」という知識…と言うほどでもない情報…を手紙で添えて大量のトゥペの木の皮をそれこそ束で送ってハイおしまい、という手だってある。が、それもなんだか味気ないし、何より興味がある。
「ありがと、セドナさん」
「いいえ、どういたしまして」
　図書館の門の前である。あれだけいかつい門も、出る時は何と言うこともない。あっけないほどカンタンに通してくれた（もし忘れ物が…とかそんなことになったらなったでかなり面倒なことになるのだろうけど）。
「ヴェーラ村へ？」
「そのつもり」
「ノルザムランドですか…」
　ちょっと空を見る。少し曇った少し暗い空。
「遠いですね」
「そうでもないけどね」
「まあ…ルートセラーならそんなもんでしょうね。…また寄ることがあったら姉さんともども歓迎しますわ」
「そうしてくれると助かる。…宿泊費って結構バカになんないのよ」
「…姉さんの部屋ですけど。私の部屋は、ちょっと」
「…あー…それでもいいかな…」

「クモキリヤさんんもお気を付けて」
「ああ。世話になった。こちらの用も助けてもらって感謝する」
「いいえ。大したことないですわ」
　と、ひらひらと手を振っていたりする。そう言えば何か相談してたっけ、とかそんなことも思う。

　…そう言えばルチアはどこ行ったんだか…？
　調べ物も終わって、さあ、行こうか…となった時に、ああ、そうでしたそうでした、とどこかに慌てて走って行ってしまったのだが…
「あーーー！　ドリスさんクモキリヤさん、待って待って！」

「お。来た来た。世話になったわね…って」
　息を切らせて膝に手をつくような姿勢になっているが、かなりの大荷物である。
「何その荷物？」
「私も、一緒に、行きます、ハイ」
「…えっと…」
「姉さん…学校はどうすんの…？」
「調査、旅行、という名目で…ふう、何とか、なるでしょ」
「何とか、じゃないでしょ？」
　しかし意思は固いようである。いつものどこかつかみどころのない？彼女にしては珍しくしっかりとした目つきで、荷物を背負い直す。
「大丈夫、大丈夫。一応一筆託して来たからさ…なんとかなるって」