TheRootSeller 外伝 6 「魔法使いを探せ！」[3-6]

　…ラサルートか…
　古都だ、ということはドリスも十分に知っている。そこから出た宝物を扱うオークションだってあるのだったし。
　…でもなー…
　なんだかなあ、という思いはある。特に依頼があるわけでもなし興味があるわけでもなし。

「んまあ、とりあえず今はヴェーラ村を目指しましょうか。ノルザムランド。ここから北だと…南北大街道を…？」
　そこで気づく二人の不審？な目。
「何よ？」
「いや…そこもとのことだからセントレランドの北寄りの…ユコンに行って地魚でも～とか言うのかと思っておったが」
「ええ。ドリスさんのことですから道の途中の何か面白いものを～とかそんなことかと思ってたのですが？」
　…おいおい
「いやそのね、あたしだって依頼受けてる以上はきちんと仕事しますよ？　ええ、そりゃあ、真面目にね？」
「…どーなんですかね？」
「…うむ。なかなかに怪しいのう」
「そこ、聞こえてる」

　…はあ、まあ、そんなもんだけどね

「またおいでてください。お待ちしております…」
　と、オワネスの言に送られて。
　体力気力共に回復したルチアを連れて…結局マルガレーテの店には辿り着けず（しかし元気で店を続けている情報を得ることはできた）…補充品や装備品を揃えることはなんとかできた。なんだかんだと荷物を増やしたがる（恐らく不安からだろう）ルチアをなんとかなだめつつあるいは脅しつつ持って歩ける程度に荷物を納めることになんとか成功したのであった。なお…余剰分はベテラン勢の負担となったのは言うまでもない。それでも
「こんなものかの」
「そうね」
　ルートセラー二人にとっては慣れた道のりではある。東西南北を貫く大街道の一つである南北大街道。整備された道であり、進む分には全然問題ない。なのだが…考古学者にとっては全くの未知の道となる。
「大丈夫…でしょうか？」
「心配しなくてもいいって」
「はあ…」
「大船にでも乗ったつもりでいるのだな、はははははは」
　と、まあ、歩きだした当初は順調だったのだが…。

「…雨、止みませんね」
「うん」
「ここで、足止め、ですか…」
「そうだのう」
「ええと、今日で…」
「三日目かな」
「えーーー…」

　天幕の下の三人である。いや、正確には二人。ドリスは何かツテや縁があればどっかの軒下にでも飛び込んでしまえ、という事情？もあって簡単な天幕でいつも野宿している。が、クモキリヤはあまりそういうことはしないのか、野営にも適したしっかりとしたテントを一張り持っている。
　当然の話だが、こういった天候ではテントの方が有効である。
　当人はテントの中で泰然、と茶なんぞたしなんでいるが。しかし簡易的な天幕（四方八方から風や雨が入りまくるのだ）しかないこっちの二人にとっては…この天候はいかんともしがたいものがある、というものなのだが…。
「まあ、そのうちどうにかなるよ。そんなもん」
　濡れたらヤバい荷物は濡れないように加工した袋の中にいつも収めてあって、そもそも濡れるのをいとわないこのルートセラーはこんなものである。なお、こういう時ファイーナは近くにいない。あれは逆に濡れるのを非常に嫌うのでこういう時はどっか雨宿りできるところに隠れている。
「いや、でも…」
　そしてこの考古学者。
「あはは。気にしない気にしない。止まない雨はないんだからさ」